
抱っこひも選びの大前提として大切な「ベビーウェアリング」という概念について別記事でお話したのですが、今回はいろいろな抱っこの種類と、その中でも特にベビーウェアリングにおすすめな抱っこ方法についてお話しします。
赤ちゃんの正しい抱き方
子育てで抱っこは必須ですね。
たとえば着替えや授乳や移動など大人の都合で抱っこしなければいけないのはもちろんですが、抱っこはコミュニケーションをとったり赤ちゃんの心を育むためにも積極的に行うほうが良いと考えられています。
(参照:”ベビーウェアリング”とは?赤ちゃんの心を育む魔法の考え方)
赤ちゃんが子猿さんのように華奢で小さいときから、鏡餅のようにモチモチずっしり成長するまで(少なくとも一人で歩き回るようになるまで)抱っこはとても重要なのです。
先輩ママさんの中にも
「乳児期はいっつも抱っこしてたなぁ」という声が少なくありません。
だからこそわが子には快適な抱っこをしてあげたいですね。
というわけで新生児からおすすめの抱っこの方法をいくつかご紹介します。
①横抱き
首がすわらない赤ちゃんを手軽に抱っこできるのがこの方法。腕で頭を支えるので安定感もあります。さらに授乳もしやすい。
また赤ちゃんと見つめ合えるのでお話などコミュニケーションタイムにも向いています。
小さいお子さんやお年寄りが座って抱っこするのにもおすすめ。
ですがデメリットは、赤ちゃんが大きくなってくると短時間でも腕に負担が掛かりやすくなることも。
②縦抱き

首が座らないうちは赤ちゃんの頭をお母さんの肩にもたれかかるようにして支え、首が座ったら赤ちゃんの胸元をお母さんの胸元に引き寄せて抱っこします。
欧米では「肩抱き」や「引き寄せ抱き」とも呼ばれます。
一番のメリットは密着感が高く赤ちゃんが安心するということ。
横抱きより重心が高いので腕の負担はやや軽減されますが、首がすわらないうちはグラつかないよう注意しないといけません。
③腹抱き

うつ伏せのようにして赤ちゃんのお腹を支える抱っこ。ゲップが出なくて苦しんでいる赤ちゃんをラクにさせてあげる方法です。
また、泣き止まない赤ちゃんをおとなしくさせる効果もあるようです(個人差あり)。
首すわり後はお父さんが、この抱き方で飛行機遊びをする場合も。
ただし大きくなってくるとかなり辛いです。
④フットボール抱き

赤ちゃんをラグビーボールのように小脇に抱える抱っこ。おもに授乳時にこの抱き方を行います。
授乳クッションなどに寝かせると頭を支えてあげるだけなので、抱っこする側はラクですし、赤ちゃんも安定します。
ご覧のように赤ちゃんの抱っこ方法の正解は一つではありません。
もちろん”新生児の頭を支えない”、”赤ちゃんの体に負担をかける”というような抱っこは言語道断ですが、無理ない姿勢で赤ちゃんが快適そうであれば神経質になる必要はありません。
いろいろな方法を試してみて赤ちゃんのお気に入りの抱っこを見つけてはいかがでしょうか。
が!!
このブログはここでは終わりませんよ。
「どうぞお好きなように~」ではこのブログが存在している意味がない!!!
あなたにもう一段踏み込んだ情報をお伝えしなければ・・・。ちょっと長いですがここからが大切な話なのでお付き合いください。
”新生児に縦抱き”はすでに常識となっている
正しい抱っこ方法は一つではありません。
もし私が「赤ちゃんの抱っこってどうやるんですか?」と聞かれたら、上の例のようにいろいろな方法を提案すると思います。
ですが「赤ちゃんにとって一番いい抱っこの方法ってなんですか?」と聞かれたら
真っ先に縦抱きと答えます。
上の腹抱きやフットボール抱きは移動中などに行うには合理的ではありません。日常生活のあらゆる場面で活用できるのは縦抱きと横抱きです。
というわけで縦抱きと横抱きを比較しつつ縦抱きを推奨する理由をご説明していきますね。
あかちゃんの理想的な姿勢はM字開脚
正しい抱っこを知るためにはまずは赤ちゃんの体について理解しておかなければなりません。
健康的な赤ちゃんの姿勢は下の画像のように両足が均等にM字型(カエルの足のように)に開いています。この体勢が赤ちゃんにとって最も自然で快適なのです。

抱っこの理想はM字開脚のコアラ抱っこ
だっこにおいてもM字開脚(カエル足)をキープすることが赤ちゃんにとって理想的だと言われています。脚が伸びてしまうような抱っこは場合によっては股関節脱臼を引き起こす恐れがあるからです。
「先天性股関節脱臼」という病気を聞いたことがありますか?
これは日本の赤ちゃんのうち1000人に1~3人程度の割合で発症する股関節の関節が外れてしまう病気です。

「先天性」とは言えこの症状を持って生まれてくる子はごくごく稀です。ほとんどが生まれてからの環境(抱き方、おむつの締めつけ、向き癖)などの要因で引き起こされています。
脱臼と聞くととても痛そうですが、赤ちゃんは大人と違い体が柔らかいので脱臼しても痛みを感じづらいため歩き始めるまで見過ごされる場合もあるようです。
こういった事情があり、日本小児整形外科学会では「コアラ抱っこ」と名付けたM字開脚抱っこを推奨しています。
コアラ抱っこの名の通り、コアラが木の幹にしがみついている体勢=足を曲げて座る姿勢が理想です。

コアラ抱っこのポイント
- 脚がM字に開いている
- 子供を親の体の正面で抱きかかえる
詳しくは日本小児整形外科学会の公開資料をご覧ください。
縦抱きと横抱きの違い
実際、縦抱きと横抱きでは赤ちゃん体勢にどんな違いがあるのでしょう。
縦抱き横抱き比較その① 脚の形

縦抱きでは赤ちゃんの脚がM字に開いていますね。まさに先程の画像のように、赤ちゃんがコアラのごとくお母さんの体にしがみつく形です。
一方の横抱きはどうでしょう?赤ちゃんの脚が一直線気味に伸びていますね(これは最も一般的な横抱きのスタイルです)。
正しい横抱きをするには、下の絵のように赤ちゃんの背中がC字のカーブを描くような体勢で体を包み込むように抱っこしてあげる必要があります。

縦抱き横抱きの比較その② 密着
縦抱きと横抱きには大きな違いががあります。
それは、お母さんに触れている面積の違いです。

縦抱きの場合は母子が正面で向きあう形で体を密着させるため、赤ちゃんは左右の手足を比較的自由に動かすことが可能です。
いっぽう横抱きの場合は赤ちゃんの左or右半身がお母さんの体と密着している反面、反対側は開放感がありますね。このような場合には左半身がお母さんに密着している赤ちゃんなら左の手足の動きは右に比べると制限されますし、左股関節はつねに内側に向かって多少の圧が掛かる形になります。
すると、稀にですが体の左右の運動能力や筋力に差が生じたり、股関節脱臼を引き起こすきっかけになったりする場合があります。(こちらの整体師さんのブログでは偏った横抱きによる赤ちゃんの骨盤のゆがみの事例を紹介なさっています。)
横抱きの理想は、左右交互に抱っこしてバランスを取ってあげることです。しかし現実は、赤ちゃんが特定の向きを好んだり、お母さんが利き手の都合などで左右バランスの取れた抱っこができないケースは多いのです。
横抱きはメリットない?
縦抱きと横抱きを比較したら横抱きの欠点ばかりになってしまいましたね。
しかし横抱きは決して悪い抱っこではありません。むしろ、おすすめだっこの一つです。
横抱きは縦抱き以上にお互いの顔に視線が集中するので、言葉掛けなどにはとても向いているでしょう。また特に首すわり前の赤ちゃんの場合、最も簡単に首を支えてあげる事ができます。加えて、横抱き特有の波のような横揺れ(あやし)が大好きな赤ちゃんも多いです。
もし寝かしつけやふれあいタイムのときに赤ちゃんが横抱きを求めるのあれば、躊躇なく横抱きをしてあげてくださいね(ただし脚は曲げてあげて)。
ですが、股関節脱臼などの身体的リスクは未然に防げるのならばそれが一番。これから出産を控えたお母さんやまだ生後間もない赤ちゃんのお母さんは横抱きのクセを付けてしまう前に、縦抱きを積極的に取り入れて縦抱き好きの赤ちゃんに育てるのが一番理想的だと考えます。
縦抱きは危ないって本当?
生まれて間もない赤ちゃんを縦抱きすることに抵抗ある人もいるかもしれません。とくに祖父母世代(50代オーバー)の人にとっては常識を覆すものであり危ないと感じるようです。
そんな人たちの一番の懸念は「まだ首が座ってない危ないんじゃ?」ということではないでしょうか。
これについては頭や筋力の弱い背中をしっかり支えてあげれば問題ありません。
実は縦抱っこについては、首をしっかり支えてさえいる限り危険性は特に立証されていないんです。なにより日本小児整形外科学会が唯一推奨している抱っこが縦抱きのコアラ抱っこですから説得力がありますよね。
さらに育児先進国である欧米諸国では新生児から使える縦抱きの抱っこひもが多数のメーカーから発売されており世界中にシェアを広げています。そしてものづくりの国日本においても抱っこひもは欧米のスタイルを取り入れて進化してきました。
縦抱きは今や常識とも言えるでしょう。
ベビーウェアリングと縦抱きの親和性
個人的に縦抱きを推す一番の理由は赤ちゃんと密着できるという点です。
赤ちゃんの心と身体を健康に育む”ベビーウェアリング”と言われる密着型抱っこには、縦抱きが一番です。もっと言えば、縦抱きしか真の密着抱っこはできません。
とくにスキンシップという点で、縦抱きは他のどの抱っこよりも優れています。
参照:抱っこひもを選ぶ前に知ってほしい”ベビーウェアリング”とは?赤ちゃんの心を育む魔法の考え方
小さい頃を思い出してください。
あなたは一番大切で大好きなぬいぐるみをどのように抱きしめていましたか?
ぬいぐるみと向き合って小さな胸元にぎゅーっと抱きしめたのではないでしょうか?
その抱っこ、縦抱きに似てませんか?
私たち人間は潜在的に”どんな抱っこに最も愛情を込められるのか”を知っているのです。
あなたの胸元で赤ちゃんをギュッと抱きしめてあげればそのぬくもりが愛情になって赤ちゃんに伝わることでしょう。
投稿者プロフィール
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こまりと申します。育児業界で働いていた子育て中のママです。育児の現場で多くのママさんたちと接してきたなかで、育児においていちばん重要なアイテムは抱っこひもであると確信しました。「抱っこ紐を制するものが育児を制す!」抱っこ紐でお悩みのママさんたちのお役に立つべく、ぶちゃけ気味にブログを綴っております。
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